大基本　基礎知識　ＴＯＰ

私は、便秘解消のツールとして、習慣体質という概念を使います。
この概念は、便秘だけでなく様々な病気に有効なのでぜひおぼえてください。

人には生まれ持った体質があり、遺伝子的に決まっている身体の質は一生、変わらないということになっています。
例えばアルコールの分解酵素ですが、人間は生まれつき、その分解酵素の生産能力を多く持っている人と あまり持っていない人がいるといわれています。
アルコールの分解酵素の生産能力をあまり持ってない、お酒に弱い人でも 何かの事情で毎晩お酒を飲んでいると、次第に強くなり、お酒に強い体質の人と変わりないように見えたりします。

持って生まれた身体の質は変わりませんが、生活の習慣により体質が変わったようになります。
このように持って生まれた体質ではなく、生活の習慣により出来上がったものを習慣体質と呼んでいます。

便秘というのは、この習慣体質に大きく影響されています。
確かに生まれ持った身体の質として、便秘になりやすい人、反対にともすれば下痢になりやすい人というのはあります。

しかし、それらの人もこれからお話しするメソッドで身体に癖づけをすることにより、便秘をしやすい体質が表面化しない状態にすることができます。

便秘をただ便が出ない状態と理解すると、薬を使ってでも何でも便を出せばよいと思ってしまいます。場合によってはクスリに頼り症状が悪化します。

しかし、習慣の問題として理解すると、腸のコンディションを良くして排便の習慣を身体に覚えさせるという発想になり、改善につながります。
習慣体質という概念を便秘解消のツールとして使うと申し上げたのはこうしたことです。

便通を改善しようと思っている人に「定期的に排便することが便秘解消につながる」と言うとおかしく聞こえると思います。

定期的に排便がないのが問題なのに、定期的に排便があれば便秘じゃないじゃないか？
確かに、そのとおりです。

定期的に排便がないから便秘なのですが、逆もまた真なりで、定期的に排便することが便秘解消につながるのです。ここを理解することが基礎知識として、とても大切なところです。

上の図を見てください。（↑）
正常な腸の機能で、便がやってくると便が腸を押し広げる刺激で、腸の蠕動運動のスイッチが入り便が先へ先へ送られ排便にいたります。

次は、便秘の方です。（↑）
便がやってきて腸を押し広げますが、その刺激では蠕動運動のスイッチが入らず便が滞ります。

次は、便秘薬を使用している方です。（↑）
便がやってきて腸のを押し広げても蠕動運動のスイッチが入らないのは同じですが、クスリ（化学成分）の強い刺激で 蠕動運動のスイッチが入ります。
これが習慣化してしまうと、正常の方のように、便が腸を押し広げた刺激では蠕動運動のスイッチが入らず、クスリの強い刺激がないとスイッチが入らなくなってしまいます。

クスリの刺激で排便を続けると、腸はどんどん鈍くなり、ますます便が腸を押し広げる刺激では動かなくなりますし、腸が鈍くなると、さらに強いクスリの刺激がないと腸が動かなくなる悪循環に陥ります。

腸は便が一定量やってくると便が内空を押し広げる刺激で 蠕動運動のスイッチが入り動いて便を先へ先へと送ります。
腸は便が内空を押し広げた刺激で蠕動運動を始めますが、この機能を正常に使うことを繰り返すことにより癖づけをするのです。

「定期的に排便することが便秘解消につながる」というのは、便を出す正常なパターンを繰り返すことにより、身体にその癖づけをするということです。

これをお読みの方は、便秘薬がないと排便ができない方から、飲まなくても便は出るけどスッキリしない方まで、色々あると思いますが、腸のマッサージ、体操、食事面、サプリメントなど それぞれの段階に応じて 腸の働きを応援して、正常な排便を繰り返し 身体に 正常なパターンをしみこませるようなイメージで便秘を解消していきます。
前のほうでお伝えした、習慣体質のことです。

そして、これが大切なのですが、全てにおいて、腸を強く刺激して便を出すようなことをしないことです。
それをすると、結局は、腸を鈍くすることになり、自然に働きずらくなってしまいます。
「自然な形で、便が出るのを後押しする」のが大切で、強い刺激で強引に出しては、よけいに悪化してしまいます。
自然な形の後押し、自然の力を引き出すために有効なものを長年試して現在、三本柱におちつきました。